#108 悪質な遺伝子検査に注意。半数以上が実態調査を拒否している事実

引き締め専門トレーナーの荒井です。
『ボディメイクを通じて人々の自尊心を高め、日本を元気にする！』をモットーに活動しています。

最近は、遺伝子検査ビジネスが流行しています。
唾液などを採取して遺伝子を検査し、それにあったダイエットや食事法を教えるという流れです。

しかし、こういった遺伝子検査は要注意。
なぜなら、遺伝子検査ビジネスを行なっている半数以上の企業が、大学による実態調査を拒否しているという事実があるからです。

ご紹介するのは、北里大学大学院医療系研究科と信州大学医学部の教授による実態調査の報告です。

遺伝子検査をしている多くの企業が、検査されることから逃げている

この報告では、遺伝子検査ビジネスを行なっている697の機関に実態調査をお願いしました。
その結果、実態調査に協力する機関は全体の41.6%にしかすぎなかったのです。
検査をするビジネスをしている機関が、検査をされることを拒む、とは何とも不思議なものです。

冷静に考えたら、自分の会社の行なっている遺伝子検査が科学的根拠に基づき、実効性の高いものであるなら実態調査を拒否することはないはず。

むしろ、宣伝広告として『第３者機関による実態調査で、実効性が確認された遺伝子検査です！』と言えそうなものです。
でもその実態調査を拒むということは、つまりそういうことだと言えます。
とても怪しい。

実態調査を受けた機関でも、経済産業省の指針を遵守している機関は56.2%しかない

さらに、実際に遺伝子検査ビジネスを実施していると回答した73機関の回答によると、経済産業省が指針しているガイドラインを遵守している期間は56.2%にしか過ぎなかったのです。

そして、科学的根拠の確保としてデータ分析・解釈を行っている機関の複数の論文誌に発表された、日本人の遺伝子解析結果で判断している機関は44.4%しかありませんでした。

これらの結果から、遺伝子検査を用いてビジネスを行っている企業のほとんどは、信憑性が薄いものだといえます。
全てがそうだとは言い切れませんが、遺伝子検査ビジネスには充分注意する必要があるのです。

では、なぜ多くの企業が遺伝子検査ビジネスを行うのでしょうか？

遺伝子検査を通じて、その後の高額商品をセールスするのが狙い

これにはビジネスにおける、フロントエンドとバックエンドというものを理解すると良いでしょう。
バックエンドとは、その企業が売りたい高額商品のことです。
フロントエンドとは、その高額商品を買わせるために出すお試しの商品の事を言います。

スーパーマーケットで言うと、お客様に試食をしていただき、気に入ったら商品を買ってもらう。
サプリメント・健康食品なら、まずは無料のお試しパックを渡し、その後に定期購入してもらう流れがフロントエンドとバックエンドです。

遺伝子検査は、フロントエンドの役割を果たしています。
高額の商品を売るためのいわば、おとりです。

例えば、
◆遺伝子検査をした結果、あなたの遺伝子は従来のトレーニングでは脂肪は減りづらいので、私どものジムの独自のトレーニングメソッドで痩せる必要があります！

◆あなたの遺伝子から、この栄養素を摂取することが有効だとわかったので、うちで開発しているこの健康食品をとることがお勧めです！

◆あなたの遺伝子だと、運動では脂肪が落ちづらいということが分かったので、我々のエステに通うことがお勧めです！

というように、遺伝子検査を用いてその後に待ち構える高額商品を企業は売りたいのです。

人間というのは欠点を見つけられると、それを改善したくなる習性が備わっています。
それを巧みに突いたのが、遺伝子検査ビジネスです。

遺伝子という生まれつきの物を提示されると、もうどうしようもないから、言われる通りするしかないのかな？という心理的効果が働き、購買に繋がります。

遺伝子検査ビジネスへの警告として、2015年にイギリスの専門家グループが発表した報告によれば、少年少女の遺伝子を検査して、その子にあった適正のスポーツを探す行為は無意味であると結論付けています。

以上のことから、巷で流行りの遺伝子検査は多くが信憑性に乏しいものになっています。
結局のところ、ダイエット・ボディメイクはそういったものに騙されず、筋トレと食事改善という王道を突き進むことのできる人が理想の身体を獲得できるのです。

不安を煽ってくるような、売り込みビジネスに騙されないようにしていきましょう。