#136 糖質制限は痩せはするかもしれないが、死亡リスクは高くなるという研究結果
引き締め専門トレーナーの荒井です。
『人々の自尊心を高め、日本を元気に!』を信念に活動しています。
今回は糖質制限をすると、病気などの死亡リスクが高くなるよというデータを世界最大の医学誌Lancetに掲載された論文を基に紹介をします。
Seidelmann S.B.
Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis.
Lancet Public Health (2018) 3: e419–428
以前にもLancetでは、糖質摂取量に伴う健康リスクに関する研究論文は出ていましたが、比較対象が適正の糖質量と過剰な糖質量とを比較した研究結果でした。
つまり、過剰な糖質量が健康を害すことはハッキリしたけど、逆に過少な糖質量の場合はどうなるの?
ということまでは調査していなかったのです。
そして伝言ゲームのように、以前Lancetが出したデータが広まっていき、いつの間にか『糖質量が多い食事は死亡リスクを高めるから制限するべきだ!』と意見が湾曲してしまいました。
確かに適正の糖質量と過剰な糖質量では、過剰な方が死亡リスクは跳ね上がりますが、過小の場合はどうなるのか?を検証していないにも関わらず、『糖質制限』だけが一人歩きしてしまったのです。
そこで過小の糖質量だとどうなるのか?をメタ分析(複数の研究結果をまとめたもの)したのが、今回の論文です。
この論文では、アメリカの45歳〜64歳の15,428人を25年間追跡調査しました。
その結果をまとめると、
・ 総エネルギーの 50~55%を炭水化物から摂取するグループが、最も死亡率が低い。
・ 総エネルギーの 40%未満および 70%超のグループでは死亡リスクが上昇。
・ 炭水化物摂取量を制限し、動物 (羊・牛・豚・鶏) の肉由来のタンパク質や脂質を多く摂取したグループでは死亡率が上昇した
というデータが得られました。
グラフで表すと下記の状態です。
総エネルギーの50〜55%を糖質から摂ったグループが、死亡リスクが1.0の値。
それに対して総エネルギーの40%以下まで糖質を制限すると、次第に死亡リスクが高くなります。
適正の糖質量を摂ったグループと比較して、最大で80%程度まで死亡リスクが高くなるのですから、なかなかの数値です。
糖質を過剰に制限することは、慢性的な栄養不足に陥るので、健康リスクが高まるのは当然といったら当然です。
糖質に限らず、何事も適正なら良く、過剰や過少なら体に良くありません。
今回の糖質に限って言えば、不足の方が死亡リスクが高くなります。
以上のことから、過度な糖質制限は痩せることはあるかもしれないけれど、死亡リスクは高まるという結論でお届けしました。
ダイエットをするなら、主眼は糖質ではなく、カロリーに置きましょう。
編集後記
いつもトレーニングしているジムが撮影OKになったので、自分のトレーニングのフォームを撮影したりしています。
自分のトレーニングフォームを客観的に見ることは、あらためて勉強になるなと実感しました。
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